年商6億円からの大コケ

こんにちは。ワンストップビジネスセンター代表取締役の土本です。

2004年、20代だった私は会社員をしながら、「いつかは自分で何かを始めたい」と思っていました。そんなとき、仲間が立ち上げた家具インテリアの輸入販売のベンチャーに声をかけてもらい、思いきって飛び込むことにしたんです。

資金もノウハウもなかったけど、情熱と勢いだけはありました。ネット販売や中国での商品開発、実店舗を持たないスタイルなど、当時としてはかなり攻めたチャレンジをしていて、ありがたいことにテレビや新聞にも取り上げられ、会社はどんどん成長。フランチャイズ展開まで始めて、手応えも十分に感じていました。
でも、順調に見えるときこそ落とし穴があるんですよね。どこかで「ちゃんとした会社っぽく見せないと」って気持ちが先走ってしまって、やたら広い倉庫を借りたり、必要以上にスタッフを増やしたり……。気づいたら、動きの鈍い“立派なだけの組織”になっていました。

そんななか、2009年のリーマンショックが直撃。資金繰りが一気に悪化し、あれよあれよという間に会社は倒れてしまいました。「大きくすればうまくいく」と思っていた私は、ここで人生最大の失敗を経験することになります。

失敗の中に落ちてた、次のヒント

会社は解散、仲間もそれぞれの道へ。私はしばらく落ち込んでいましたが、どこかで「またやれる気がする」という不思議な気持ちも残っていて。
そんなタイミングで、妻が長男を妊娠していることがわかりました。「よし、落ち込んでる暇はない」と覚悟が決まり、再び前を向くことに。

その後は、個人でインテリア事業を細々と続けていました。ありがたいことに上場企業グループの住宅メーカーとのお取引にも恵まれ、年商1億円を超えるまでに成長。でも、また景気が悪くなれば一気に影響を受ける。そんな不安もつきまとっていました。「次にやるなら、小さく始められて、景気に左右されにくくて、在庫も持たず、フラットな組織で運営できる事業がいいな」と、いつも頭の片隅で考えていたんです。

そんなときふと思い出したのが、以前自分が使っていたバーチャルオフィス。「便利だったけど、けっこう高かったよなあ……」と。その瞬間、必要な機能だけに絞って、もっと安く提供できれば起業を目指す人の役に立つかもしれない」とひらめいたんです。

バーチャルオフィスが“当たり前”になるまで

そして2010年、かつての仲間と一緒に『ワンストップビジネスセンター』をスタートさせました。最初は本当に苦労しました。「バーチャルオフィスって何？」「なんだか怪しそう」と言われることもしょっちゅうで（笑）。それでも少しずつ、起業を目指す人たちにサービスが届き始めありがたいことに利用者は徐々に増えていきました。

世の中の価値観も、少しずつ変わってきました。2011年の東日本大震災をきっかけに、働き方や暮らし方を見直す人が増えて、クラウドツールやリモートワークが少しずつ浸透していったのです。そして2020年、コロナ禍で社会が大きく変化。リモート勤務やオンライン会議が一気に当たり前になりました。

そのとき、「あれ？これって、10年前から自分たちがやってきたワークスタイルそのままだな」と驚いたのを覚えています。Zoomが登場するずっと前、Skypeを使って全国のメンバーとオンラインでつながり、リアルに集まらない働き方をずっと実践してきました。ようやく時代が追いついた、そんな感覚でした。

これからも、挑戦する人のそばに

気づけば、あれから10年以上が経ちました。ワンストップビジネスセンターは全国に40拠点以上、延べ2万社を超える方々にご利用いただけるようになりました。私たちは、最初から「住所だけ貸す会社」ではなく、「挑戦する起業家の最初の一歩を支える存在」でありたいと思っていました。そしてその想いは、今もこれからも変わりません。

副業、フリーランス、パラレルキャリアなど、働き方がどんどん自由になる今、「選べる場所」と「すぐに使える仕組み」はますます大切になっています。私たちは、その選択肢を支えるインフラでありたいと思っています。これからも、変化を楽しみながら、時代に合わせて進化しつづけます。そして、挑戦するあなたのすぐそばで、そっと、でもしっかりと支えられる存在でいたいと願っています。

代表取締役
土本真也(つちもとしんや)

1976年生まれ・岐阜県岐阜市
趣味：スノーボード、旅行

経歴：
大学卒業後、家具・建築金物メーカー、貿易商社を経てベンチャーの世界へ。製造・流通・小売業に携わり、2003年に起業。数々の失敗と学びを経て、2009年に株式会社ワンストップビジネスセンターを設立。自身の経験から、起業家を支援したいという想いが強まり、2010年に主力事業であるバーチャルオフィスを開始。